ローカル線を守るのは誰か?
先日、ココログのメンテナンス期間中に、これまで記事にしてきた地方鉄道についての話題を取り上げた番組が放送されていた。
日経スペシャル「ガイアの夜明け」 1月16日放送
第246回「住民の足を守れ~消えゆくローカル線 再生への闘い~」
先日廃線になった神岡鉄道や、今回の旅で乗車してきた鹿島鉄道、別会社を立ち上げて存続した和歌山電鉄、そして、JR北海道が開発するDMVなどが紹介されており、なかなか興味深い内容であった。
地方鉄道の再生請負人とも言われている両備グループが手がけた鉄道再生の一つとして取り上げられていた和歌山電鉄は、運転士が業務終了後に時刻表をポスティングしたり、クリスマス時期にはサンタに扮して特別列車の運行をしたりと、さまざまな努力を重ねている。そして、地元住民も鉄道を維持するための活動を積極的に行っており、ボランティアで駅の清掃活動なども行っているという。
一方、廃線が決まってしまった鹿島鉄道は、存続活動を行うグループが両備グループ代表の小嶋光信さんを訪れ、鉄道存続のための支援を要請していた。
そこで小嶋さんが仰っていたのは、「沿線の方たちがなくては困るという気持ちで(存続)運動をされていくかどうか」が大事だということ。
結局、鹿島鉄道沿線では、住民を集めての会合を行ったもののあまり人が集まらないだけでなく、存続についての否定的な意見しか出てきていなかった。また、両備グループの方が現地を視察された際も、現地の人の反応は薄く、結局両備グループが手を差し伸べることはなかった。
見ていて感じたのは、鹿島鉄道の「必要性」が住民の中に伝わっていなかったように思えた。鉄道インフラの重要性をいくら語ったとしても、今の生活が車で十分まかなえる状況の中では、赤字鉄道を住民の力で守るという意識は生まれないだろう。車中心の生活スタイルが永続できるのかどうか、自分達が年をとり、車を運転できなくなったとき、自分達の生活はどうなるのか、公共交通のありかたの部分まで考えをめぐらせ、訴えていかなければならなかったのではと思う。
結局、ローカル線を守るのは、経営する企業と地元住民が一緒になって、鉄道を存続していこうという気持ちにならなければ、うまくいかない。
例えばDMVは、鉄道会社の努力の賜物である。乗客を増やすことが難しければ、運行コストを下げることで鉄道を維持しようという考え方、これも重要なポイントである。
今、銚子電鉄が大変注目されている。ネットで広がった濡れせんべい等の購入だけで、これから先の鉄道存続が安泰になるわけではない。先日発足した「銚子電鉄サポーターズ」のように、地元住民による活動がこれからは重要になっていくはずである。
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コメント
私も見てました。
興味深い内容でしたが、物足りなさを感じました。
企業・自治体・住民が三位一体にならないと地方の公共交通は残せないというのはその通りだと思いますが、結局は住民が無関心なら公共交通はなくなって当然という感じになっていて、おいおいそれだけでよいのかい?と思ってしまいました。
単に事例を紹介するだけでなく、そもそもの「公共交通を守る意義」について番組としてもっと掘り下げて欲しかったですね。
投稿: MARU | 2007.01.22 22:37
MARU様
コメントありがとうございます。
1時間という決められた枠の中で、あれだけの事例数を紹介する構成になっていたので、「浅く広く」の内容になってしまったような感じですね。
番組内では主に企業サイドからの取り組みについて取り上げられていましたが、自治体サイドの取り組みについては触れられていなかったように思います。
例えば、DMVの代わりに富山ライトレールのような、第3セクターでもがんばっているところを取り上げても良かったのではないかと思います。
自治体が公共交通を守る意義を考えて行動している例としては、富山ライトレールはぴったりの事例ですしね。
NHKが同じテーマで番組を作ると、また違った感じになるような気もします。他の放送局でこういったテーマの番組が作られるといいなあと思います。
投稿: K_S | 2007.01.22 22:58