「テレメンタリー2008」で津軽鉄道の現状を見る
今朝未明、ABCテレビで「テレメンタリー2008」で、青森朝日放送が制作した「ガンバレ!おらどのストーブ列車~津軽鉄道の存続をかけて~」が放送された。
昭和5年に開業した津軽鉄道。地元では「津鉄(つてつ)」と呼ばれるこの鉄道も、他の地方鉄道と同様存続の危機が訪れている。そんな中で、津軽鉄道のために立ち上がった人たちを取り上げていた。
朝と夕方は通学する高校生でにぎわうものの、昼間は1両編成の気動車で、空気を運ぶ状態(乗客0)になることもあるという。30年ほど前には年間250万人以上の利用者がいたのだが、現在ではわずか33万人にまで落ち込んでいる。
赤字補填のための補助金は制度の変更に伴い打ち切られ、安全対策のための「緊急保全整備事業」(総事業費3億7700万円)で国と沿線自治体から1割ずつの補助を受けたものの、厳しい財政事情から、これ以上の援助は期待できない。
2006年度の運賃収入約1億円に対し、営業費用は約1億2000万円。グッズの販売などで赤字を減らしているという。やはり、列車を利用してもらうことだけでは、経営が成り立たなくなっているというのは、どこの地方鉄道も同じなのだろう。実際、全国の中小ローカル鉄道(95社)のうち、7割以上が営業赤字だという。
そういった状況の中、津軽鉄道では地元の住民が立ち上がった。
それが、「津軽鉄道サポーターズクラブ」である。2006年1月に設立され、メンバーは地元住民を中心に全国にも広がり、今年1月末現在で760人、津軽鉄道だけではなく、地域全体を活性化させることを目的として、さまざまな活動を行っている。
月1回のミーティングでは、津軽鉄道の社長や社員が必ず参加しているそうで、取材時にはレールオーナー制度についての打ち合わせが行われていた。
これは、1口5,000円で津軽鉄道の路線1メートル単位でオーナーになり(ただし、所有権・占有権はない)鉄道を支えていこうというもので、1月末現在で1,492人が応募し、746万円が集まったそうである(現在も募集中。くわしくはこちら)。
サポーターズクラブの活動はこれだけではない。沿線を散策する趣味を持つメンバーが、沿線を紹介する地図を作成して駅に設置したり、写真を趣味にするメンバーは、津軽鉄道のいろんな風景を写真集に仕立て上げ、売り上げの一部を津軽鉄道の収入となったりしている。
12月1日から3月31日まで1日2往復運転されているストーブ列車は、今シーズンからストーブ列車料金(300円)をとるようになったそうである。
地元の乗客のために、ストーブ列車の後ろに一般車両(気動車)を連結しているそうなのだが、これによって地元の人たちと観光客とのふれあいはなくなってしまう。
しかし、車掌の人件費やストーブの石炭代などのコストがかかるほか、車両検査のコストが約1,200万円もかかることから、こうするしかなかったとのこと。
銚子電鉄でも車両の修理・検査代が大きな問題となっていたので、これは他の地方鉄道でも起こりうる問題なのだろう。
津軽鉄道にとって、ストーブ列車は、鉄道を存続させるためには欠かせない存在になっているのである。
ストーブ列車だけではなく、腕木信号機とタブレット交換が見られるというのも、今やかなり貴重な存在である。そういった「鉄」視線だけではなく、学生の通学やお年寄りの通院など、鉄道がなくなれば困ってしまう人が確実にいる。
そのために、地元の人たちが乗車するだけでは鉄道の存続が成り立たないのであれば、外から人を呼び込まなければならない。
実際、前述のサポーターズクラブのメンバーが駅周辺を散策するモデルコースを作って、旅行代理店に売り込もうとしている。こういった地道な活動の積み重ねが、地方鉄道を支えていくのだろう。
一方で、地元の人たちの乗車を増やすための努力ももちろん行われている。例えば地元の高校生が通学定期を利用するきっかけ作りとなるよう、津軽鉄道について考えるワークショップを企画している。サポーターズクラブの活動によって、切符を買って乗車する乗客の数は下げ止まりが見られるが、定期利用者はまだ減少しているという。この定期利用者をいかに底上げしていくか、地元の足として使ってもらえるかというところが、次のポイントになっていくのだろう。
津軽鉄道の場合、「ストーブ列車」という全国的にも知名度の高い列車があるので、こういった番組でも取り上げやすいということはあるだろう。だが東北地方の中には、他にも地方鉄道がたくさん存在する。それらの鉄道の現状も、遠く離れたところに住むものとしては知りたいところではある。
一番いいのは、実際に「乗りに行く」ことだろう。
一昨年は、「東北強化年」としてかなりの回数東北地方には出かけたのだが、その目的地は仙台より北上することはなかった。今年こそは、青森・秋田・岩手・山形まで足を伸ばして、各地の地方鉄道を訪れたいと思う。
参考:津軽鉄道公式HP
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