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2010.05.30

樋口了一コンサート「手紙~親愛なる子供たちへ~」 at つくばに行く

2010年5月29日(土)につくばで行われた樋口了一さんのコンサートに行ってきた。
コンサート会場にたどり着くまでの顛末は、また後日として、まずはコンサートの内容について書いていくことにする。

前日に電話でチケットを予約しておいたので、17時過ぎに会場受付でチケット代と引き換えにチケットを受け取る。
17時30分過ぎ、会場内に入り席に着くと、かなり前方でステージがよく見える場所である。
ステージ上にはグランドピアノが1台とギターが3台、真ん中にマイクとイスが置いてある。
バックは一面ブルーの照明で照らされており、曲に応じて色が変わっていく。
17時45分に影アナによる注意事項説明、18時に1ベル、18時5分に2ベルとともに照明が落ち、ピアノの岡本洋さんとギターの森竹忠太郎さんがスタンバイ。続いて樋口さんが登場し、所定の位置にスタンバイ。
いよいよコンサートが始まる。

1曲目は、コンサートやインストアライブでもほぼ毎回最初に歌われるこの曲から。

M1 HOW?

曲が終わると、「みなさんこんにちは、樋口了一です」とご挨拶があり、今回初めて樋口さんのコンサートに来たという方に拍手を求める。するとかなりの拍手の大きさである。
続いて何回か来たことのある人に拍手を求めると、パラパラと拍手が・・・樋口さんは「そこここに知った顔がいますね」と手を客席に向けて差し出す。自分がそのうちの一人なのかどうかは定かではない。
ちゃんとしたホールでのコンサートは久しぶりだという樋口さん、まずは自己紹介を始める。
昭和39年、オリンピックの歳に生まれ、熊本出身、ここで「九州の方いらっしゃいますか?」と尋ねると、宮崎出身の方がいらっしゃった。樋口さんは、宮崎とのかかわりについて、デビュー当時シーガイアにイベントでいったことがあるそうで、そのときにスポンサーの方から2本お酒をもらったのだが、今そのお酒はものすごく高いらしいとおっしゃっていた(聞き間違えていなければそのお酒とは焼酎「百年の孤独」と思われる。違っていた場合はご容赦願いたい)。

続いて1曲目の「HOW?」について、アルバムの1曲目で、現在6歳になる長男が2歳になるかならないかの頃のエピソードを元に作った歌であると紹介(エピソードの内容は、過去の樋口さんのコンサート記事を参照されたし)、その長男も最近では自分の部屋が欲しいらしく、ダンボールを机代わりにして、樋口さんの本棚から本を持ってきて並べて、なにやら文章らしきものを書いているらしい。その文の中身を見たところ、「突然の○○お許しください。僕は旅に出ます。」のような事を書いていたそうで、樋口さんいわく、自分が覚えた言葉を使いたいのだろうとのこと。「旅に出ます」という言葉が出てくるあたりは、さすがとでもいうべきか(笑)

次の曲は、長崎県五島列島の福江島の伝説とちゃんここの舞を元に、1日中海を見ていて作った曲。

M2 みみらく霊歌

歌い終わると樋口さんは、この曲についてのエピソードを語る。
作ったのはもう5年前。福江島の海を見ていて、ちゃんここの舞を実際に踊った人に会いたいと思い、地元の人に聞きまわったがまったくいない。飛行機の時間も迫ってくる中、たまたま自転車ですれ違ったときに挨拶してくれた女の子と話をしていたら、踊った人のことを知っていて家の場所を説明してくれた(結局その家にはたどり着けなかったのだが)。その女の子に、出来たアルバムを持っていって会いに行きたいと思うが、5年も経てば成長して、樋口さんのことは忘れているだろう、変なおじさんが来たといわれるかもしれない。

続いて樋口さんは、いろんな土地土地を旅して作った曲をやっていく、先ほどの曲は長崎だったが、次は大分に飛んでくださいという。
今は毎月ラジオ出演で大分に行くという樋口さん、4年ほど前に地元デパート「トキハ」の70周年の歌を作って欲しいといわれ、自分の地元熊本のことを思いながら、もう今は会えない人にもう一度会えたら何を話すだろうという気持ちを歌にした、大分でこの歌のサビを歌って「知ってる?」と聞けば、みんな知ってるよって絶対言うから、アルバムを買って聴いて試してくださいと若干の「宣伝」も入れて曲へ。

M3 風の呼び声

この歌を歌うと作っていたときの気持ちや大分のいろんな人の顔が浮かぶという樋口さん。この曲の製作を依頼した別宮さんのこともお話されていた。この歌を歌うときは、いつも別宮さんがいてくれる、「手紙」と同じくずっと替わらずに続いていく命・希望の歌であり、アルバム全部がそういう気持ちにつながっているともおっしゃっていた。

大分に続いては飛行機に乗って宮城県へ。
県の北部にある栗原市に「くりはら田園鉄道」といういまは廃止になったローカル線があって、廃線まであと2年というときに訪れた樋口さんは、大正時代から変わらないという石越駅に行き、「いいちこ」のCMに出てくるようなたたずまいや、隣の美容室で売っている硬券のきっぷや、車窓の田園風景からふるさとを思い出した。ここへやってくるために乗ってきた新幹線「はやて」と、時速40キロで窓を開ければ風が入ってくる「くりでん」、「はやて」は窓すら開かないのに、どちらが「風の列車」なのかといえば「くりでん」だ、そこで曲名もそのままつけたという曲が次の曲になる。

M4 Windy Train

この「くりでん」を保存しようという人たちがいて、今も駅舎や線路、車両を保存している。以前保存会が、廃線になる前にツアーを企画して「樋口号」という団体列車を走らせ、車両の横にある行き先を書いた板(※サボのこと)に「樋口」と書いてあり、次の車両には「了一」と書いてあったそうで、JRの人に聞いたら「貸切なんで何でもいいんです」と言われたというエピソードを話されていた。
このツアーに参加した人いますか?と客席に尋ねていたが、手は挙がらず。「行きたかったけど行けませんでした」なら手を挙げていたのだが(苦笑)
その車内では、車掌の制服・帽子を着用して検札をしたり(結構難しかったそうだ)、車内販売のワゴンにCDを積んで売り歩いたりしたそうで、久しく「くりでん」の場所に入っていないが、歌いながらそんなことを思い出したとおっしゃっていた。

宮城の次は、ファンタジーワールド、実在しない世界へ。
そこは「ひらがなが主人公」の国。北海道のDJさんが自分で書いた「ほ」の字がいいと、絵本作家のみっちゃんに見せたら、「ほ」しか出てこない絵本が生まれ、園絵本を見た樋口さんが、「ほ」を主人公にしたストーリーが浮かんで作った曲。頭の中に「おかあさんといっしょ」や「みんなのうた」に出てくるよう苗を思い浮かべながら聴いてください。

M5 「ほ」のうた

この「ほ」の歌を、樋口さんの友人で今天草の中学校の先生をやっている方が、演劇を作ったそうで、出演する生徒さんはみんなひらがなの役をされていたそうである。
樋口さんが歌にした「ほ」の連鎖はまだ続いて、「ほ」の歌を聴いたクレイアニメ作家の方が、歌詞にあわせて4分半のクレイアニメを3ヵ月半かけて作った、ぜひ見て欲しいのだが、それにはひとつだけ方法がある、「ほ」のうたのCDにDVDがついてるのでそれを買えばいいという、いつもの「宣伝」も入っていた。

続いては、先日大阪城ホールで行われた「母に感謝のコンサート」のお話。著名な歌手の方がたくさん出演される中、それを仕切っていたのが南こうせつさん。樋口さんには「挨拶したい人だけしたらいい、したくない人にはしなくていい」と言ったり、リハーサルで「涙そうそう」をみんなで歌うときに、森山良子さんのパートのところだけ、歌の最後の部分に誰かが「ざわわ」と歌い、それがだんだんエスカレートしていって、最後には森山さんも「ざわわ」と歌ってリハーサルが台無しになったそうで(笑)、でも本番はものすごくうまくいったそうである。

続いての曲について、樋口さんのお母様が天草の出身で、樋口さん自身も島にとても興味がある、次の歌は、奄美地方の島歌で、祝いの席で最初に挨拶代わりに歌う「朝花節」を聴いていて、女性の一生の物語が浮かんで一気に作った曲。そのときに浮かんだ女性というのが、石川さゆりさん、知り合いでもなんでもないのに、勝手に思い浮かべていた。
ところが、2年後にこの歌が石川さんの元に届いて、とても気に入られて、カバー。テレビなどでも歌われることがあるので、石川さんの歌として知っている方もいらっしゃるかもしれない。

M6 朝花

今回は2番から手拍子あり。

奄美から次はブラジルに飛んでください(会場笑)
次の曲「手紙」の歌詞は地球の反対側からやってきたもの。樋口さんの知人で会社員の角智織さんの元に届いた一通のポルトガル語のメールを訳したところ、「親から子への手紙」というもので、それを見た樋口さんが、自分の親や自分の子どものことが次々と浮かんできて、幸せな気持ちになったところからこの歌が生まれたこと、そして去年1年間いろんなところでこの歌を歌って伝えてきたことを話した後、会場のある茨城県と樋口さんとブラジルのつながりを話し始める。
茨城県といえば「鹿島アントラーズ」。樋口さんのデビューから2曲目「Take A Chance」は、「鹿島アントラーズ物語」というビデオ作品の主題歌だったそうで、当時選手であったジーコやアルシンドと一緒に記者会見に呼ばれたそうである。そのアントラーズにいたブラジル出身のサントス選手が、角智織さんが主宰するセントロのホームレスの人達の支援活動に参加されているとのこと。
一人一人が自由に思い浮かべるシーンを広げて、自分の歴史を振り返ってください。

M7 手紙~親愛なる子どもたちへ~

郵便配達のようにこの「手紙」を届けようというポストマンライブも58回目を数える。この「手紙」を歌うとき、いつもはじめて歌う気持ちになるのは、その場にいる聴いている人の気持ちも歌の中に入ってきて、一緒に奏でている、受け取ってくれる人を含めての歌になっているから。歌詞の中にある「悲しいことではないんだ」という部分は、この歌の主人公に言って欲しかった言葉で樋口さんが元の歌詞に付け加えたもの。この歌詞を書いた直後に熊本のお父様と焼酎を飲みながら話す機会があり、戦争中の昔話から現在に至るまで約30分の話があった後、自分が死んでもことさら悲しむことはない、それは神様が創った自然な摂理だということを言われ、その言葉に背中を押されてこの歌が生まれた、この「手紙」の歌詞はインターネットで容易に手に入るので、周りの人に届けてほしい、最近イラン人のアミールくん(30歳)と知り合い、彼が彼のお父さんに「手紙」の歌詞を説明したところ、いたく感動され、ペルシャ語に翻訳されたそうで、世界中で同じ言葉に共感する人がいる、分かり合えるということは素晴らしいことである。

「ここから急上昇していきます」という樋口さん。UPテンポの曲が続くので、突然の手拍子で筋とか痛めないようにといいながら、次の曲の説明に入る。
いまや大河ドラマに出演するようになった大泉洋くんと昔から知り合いで、彼がその昔歌い散らかしていった曲で、1年中1日1日すべてが記念日だという歌、今日も記念日というつもりで!

M8 Anniversary Song
続けて次の曲へ。タイトルのコール&レスポンスがちょっとうまくいかなかったかもしれないが、一生懸命あの数字を叫んだ!
M9 1/6の夢旅人2002

コール&レスポンスは「茨城中」「つくば中」「カピオホール中」、そして歌の途中でステージ下に降りて、一番前の女性の名前を聴き、その方のお名前も「愛で埋めつく」されていた(笑)

ここで本編終了。いったんハケた後、再び登場。

まずは最後の曲について若干説明。タイトルが「1/6の夢旅人2002」といい、車の後ろに「水曜どうでしょう」というステッカーが張ってあるのを見たことがないか?それが北海道のテレビ番組のタイトルで、樋口さんはその番組に「引きずり込まれ」、主題歌を歌っている。番組出演当初は学生のアルバイトだった大泉君も、いまやウイスキーのCMに出ている、でもその大泉君は今も昔も変わらない、以前「笑っていいとも」に出演したときに花を贈ったら、「ありがとう」というメールが来た、返事を返したら必ず帰ってきて、絶対自分で終わらそうとする、会うたびに勇気をもらえる人だとおっしゃっていた。

アンコール1曲目は、アルバムの中で唯一のカバー曲。財津和夫さん、チューリップのといって、「心の旅」のサビを歌うがちょっとキーが高すぎたようだ(笑)。「みんなのうた」で流れていたので、メロディはみんな知っているはず、1番5番が同じ歌詞なので覚えて欲しいといって1番を歌唱した後、本番へ。

アンコール1 切手のないおくりもの

そして次が最後の曲。いつものパターンなら「よろこびの歌」で終わるはずだと思っていたら、そうではなかった。

路上詩人をしていた竹内めぐみさんの詩に曲をつけさせてもらった曲・・・おおおおおっ!あの曲をやるのか!!

メンバー紹介(ピアノ岡本洋さん・ギター森竹忠太郎さん)を紹介した後、あの曲である!

アンコール2 咲ける花

以前ライブで聴いて以来、また聞いてみたいと思っていた曲で、まだCDになっていない。当分はライブ専用でいくのだろうか。いつかCDになって欲しいものである。

以上でコンサートは終了。
終了後はCD即売&サイン・握手会が行われ、それが終わったあとお疲れ様でしたとお声掛けさせていただいた。
その後、TX(テレビ東京ではなく、つくばエクスプレス)とJRを乗り継いで、ホテルに戻り、記事を書いて、何とか日付の変わらないうちにUPしようと思っていたのだが・・・無理だった。

久しぶりのホールコンサート、時間はやや短めだったが、樋口さんの声も素晴らしく、よいコンサートであった。次に樋口さんの生歌を聴けるのはいつになるだろうか。今度は神戸あたりでぜひお願いしたいところである。

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コメント

こんにちは。いつもながらの丁寧なレポートで、ライブに行ったような気持ちになれるので、本当に感謝です。
とてもお急ぎでアップされたみたいで、テンポが店舗に、財津さんのお名前も違ってるみたいですよ。
もちろん内容は正確で、素晴らしい文章です。

投稿: くろちゃん | 2010.05.30 01:09

くろちゃん様
コメントありがとうございます。
ライブの様子が少しでも伝われば幸いです。
間違いの指摘もありがとうございます。早速修正させていただきました。どんなに急いでいても、事前の文字校正はちゃんとやらないといけませんね。

投稿: K_S | 2010.05.30 08:20

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