歌謡ポップスチャンネル「Age Free Music~心に響く大人の音楽~」に樋口了一さん出演!(番組内容など)
先日放送された「Age Free Music~心に響く大人の音楽~」(歌謡ポップスチャンネル)の内容について記事にしていきたいと思う。
これからご覧になるという方は、ネタばれになるので要注意。
まずは「手紙」のPV映像からスタート。
その映像に合わせてナレーションでこの曲について、2008年10月に発売され、「年老いた親から子どもたちへ伝えるメッセージがゆっくりと世間に広がり」15万枚を超えるロングセラーになっていると紹介(テロップ【親から子への奥深いメッセージが反響を呼び 15万枚を超えるロングセラー】)。
「いったいなぜこの歌が人々の心を捉えるのでしょうか。そこに綴られた詩の世界をじっくりと掘り下げます。」
というナレーションの後、映像がスタジオ切り替わり、司会の山本モナさんが「手紙」の一節を朗読する(「年老いた~理解して欲しい」「悲しいことではないんだ~励ましのまなざしを向けて欲しい」の部分)。
丸テーブルに左から山本モナ(以下モナさん)さん、音楽評論家の富澤一誠さん(以下富澤さん)、そして樋口了一さんが座っている。
まずはモナさんが、この曲が長い(テロップ【「手紙~親愛なる子どもたち」8分22秒】)事について触れるとともに、一言で言うとどんな曲かたずねると、富澤さんはこの曲は親が子どもに送る「遺言歌」(テロップ【遺言歌 親から子へのメッセージソング】)、親が子どもに対していろいろ言いたいことを、歌に託して自分の遺言を歌っていると解説。
この後、「手紙」のエピソードをさまざまなキーワードで紐解いていく。
最初のキーワードは、「リカルドからの手紙」
友人の角智織さんの元に届いたポルトガル語のメールの最後に「リカルド」の名前が載っていた。そして、そのポルトガル語のメールを日本語に訳すと、今樋口さんが歌っている「手紙」の内容がそのまま出てきた。
モナさんから、この手紙の内容を最初に読んだときにどのような感想を持ったかを聞かれた樋口さんは、ちょうど角さんに会いに出かける前に当時4歳の上の男の子とけんかした直後で(樋口さんいわく「大人気ないもんでね(笑)」)、精神的にも毛羽立った感じで出かけていって、この文章に出会い、さっき起きていた出来事が、パーッと優しく蘇ってきて、泣き喚いている子どもの顔がそのまま自分の子ども時代(の顔)になって、親としての自分が今80歳を過ぎている自分の父親にスライドしていく、過去も現在も未来も全部が現在、今になった感じがして、ふしぎな感覚になったそうである(テロップ【過去・現在・未来が同時に蘇った】)。そして一見深刻でリアルなことを歌っている言葉なのだが、樋口さんには「希望」や「安心感」をもらった気がしたともおっしゃっていた。
続いて、この「手紙」の詩の中でひとつ好きなフレーズを挙げるとすればどこかたずねられると、樋口さんは「全部」なのだが、特にすごい言葉だなと思ったのは、
「私の姿を見て 悲しんだり 自分が無力だと思わないで欲しい」
の部分。モナさんもここで涙が出たそうである。
この言葉はすごい思いやりがある、先回りして自分の子どもがどういう風に自分の姿を見て感じるかを全部分かっている、懐の大きさをこの一文に感じたとおっしゃっていた。
この詩の表現について、原文のままなのかたずねられると、樋口さんは、ほとんどそうなのだが、樋口さんの中でどうしてもこの歌の主人公に言ってもらいたくて入れたいフレーズがあり、それを書いたときに、これを歌っていいんだろうかとすごく悩んだという(テロップ【歌詞を補足することに葛藤】)。
その言葉を紐解くキーワードが「父の言葉」
歌詞の中の「悲しいことではないんだ~」の2つのフレーズについて、人が旅立っていくことを「祝福の祈り」といった喜ばしい受け止め方をするような表現で歌詞にしていいのか(樋口さん自身はこの歌の主人公に言って欲しかったのだが)と思い、悩んでいたときに、たまたま田舎(熊本)に帰ることがあり、父と話していたときに、昔話から始まり、今に至って、これから先の話になって、
「俺はもうこの先、そんなに長くは生きらんばってんね、お前。生きらんばってんが、お前は俺が例えばこの先死んだとしてもね、悲しむなよ」
「人が生まれてきて、この世でいろんな経験つんで、またもといた世界に戻っていくというとは、神様が創った自然の摂理だろ。自然の摂理が悲しいわけなかろうが。だけん、ことさらに悲しむなよ」
と言われた、それがちょうどこの歌詞を書いて悩んでいたときだった。
こんな歌を作っているといったこともなく、不思議な符合というかつながっているものを感じたとおっしゃっていた。
ここで富澤さんが、人がなくなるということは悲しいことだが、これ(「悲しいことではないんだ~」)がなかったら、この詩は全部救われなくなる。ところがこの「悲しいことではないんだ~」とこの主人公が言ってくれることによって、この詩がネガティブからポジティブになっていく、これがあるとないとではだいぶ違うとおっしゃっていた(テロップ【富澤一誠チェック 「悲しい事ではない」と言ってくれる事で曲がポジティブに仕上がった】)。
モナさんが、実際の70代・80代のお父様・お母様は、なかなか言葉に出せないような歌詞ではないか(思ってはいても)というと、樋口さんは、自分も子どもに対してこの言葉を直接言うことはないと思うが、この歌は聴いて欲しいとおっしゃっていた。
ここでCMに入る。
CM明け、次のキーワードは「歌が一人歩きを始めた」
樋口さんはこの曲を作った後に、どうしようかと思っていた。当時はインディーズ活動をしていて、曲自体も8分を超える長さなので、ライブに来てくれるお客さんに「手渡しで」歌っていこうと思っていた(テロップ【人々に直接届ける歌】)。
富澤さんいわく、だいたい8分を過ぎた曲はシングルに切ってくれない、長すぎるから。だから長すぎるということは、いい曲だけれどもちょっと売れそうもないなということで、CD化はむずかしい。
でも結果的にリリースされたその事情について樋口さんが説明する。
長くてシングルに向かなくて、ラジオにもかかりにくいというのが逆に試金石になったという。大分のDJ・ドクターマーサさんが、樋口さんのことをずっと応援していてくれて、公開番組で新曲が出来たら必ずその番組でお披露目をしていたそうで、そこでマーサさんが「手紙」にものすごく心を揺さぶられた最初の人になり、樋口さんの作ったデモテープを自分の知っている人にどんどん配ってくれたそうである。
その配った人の中に、テイチクレコードの九州支社の鈴木さんがいて、その鈴木さんがテイチクレコード東京本社・タクミレコードの大江さんに渡した。
さらに樋口さんが定例ライブで初めて「手紙」を歌ったときに、大江さんが初めて樋口さんのライブを見に来ていて、デモテープが回ってきたときに
「この曲知ってるし、このアーティストも1回見たことある」
とつながったとのこと(テロップ【人から人へ伝わり一つの輪に】)。
樋口さんが何かしようとしたのではなくて、歌に感動してくれた人が、全部自分で動いてくれた(テロップ【曲が人に伝わる力を持っていた】)。
モナさんが、このように歌が一人歩きすることはよくある話なのかとたずねると、富澤さんは、よくあることではないが、歌力が本当にあるものは、そうなる可能性があるとおっしゃっていた。
樋口さんも、この曲に関しては、何の心配もなく、届くべき人のところには必ず届く曲になるだろうと思っていたとのこと。
「手紙」がリリースされた後の反応についてたずねられると樋口さんは、ラジオでかけづらい長さの曲だったのだが、それにもかかわらず最初に反応してくれたのは、ラジオの方々だったという。
ニッポン放送の上柳昌彦さんが朝の生放送番組で、とにかく上柳さん自身はこの歌に対して何も言える立場にはないが、とにかくこれを聴いてくださいといってフルコーラスかけたところ、ポジティブなもの・ネガティブなものいろんなものを含めてものすごい反響があり、翌日も上柳さんは、さまざまな意見が来て、聴きたくないと言う方もいらっしゃるので、もしそういう方がいらっしゃったら、ボリューム絞ってください、今日もかけますといって毎日かけてくれ、またそういう人たちが、日本各地で現れてくれたそうである。
富澤さんが、「樋口君が手ごたえを感じだしたのはいつごろなの?」とたずねると、樋口さんはポストマンライブのことを話し出す。
このポストマンライブの募集も最初は反応がなくて、なかなか依頼が来なかったそうなのだが、あるときからすごい量が来るようになり、それを見たときに「ああ、いろんな人のところに伝わっているなあ」と感じたそうである。
今後、この曲がどんな風に歩いていくのかたずねられると、樋口さんは、この歌が地球の反対側の人が表現した言葉であって、地球の反対側の僕らが自分とぜんぜん違う文化・宗教を持つ人たちが、同じ言葉で同じように感動できることが、僕らにとって「希望」であり「安心」出来ることだと思うとおっしゃる(テロップ【世界中の人が感動できるメッセージ】)。
モナさんも「親子の感情って、一緒なんですよね、どこでも」と言う。
樋口さんの夢は、この「手紙」をポルトガル語に戻って、ブラジルで歌い、リカルドに会いたいとのこと。
それと、この歌の主人公の年齢に自分が近づいていって、同じくらいになってこの歌を歌っているときに、今と違う気持ちで歌うと思う、それが楽しみで、マイペースで淡々と続けていきたいともおっしゃっていた。
ここで、ついに「手紙」のフルコーラス演奏である!
森竹忠太郎さんのギターイントロからはじまる「手紙」の背景は、星空をベースに、左手に「手紙」の歌詞、星空には子どもや親のさまざまな「写真」がスライドショーのように映し出される。
8分22秒フルサイズ、聴き応え・見応えのある演奏であった。
演奏終わりでCMへ。CM明けは、「うたスキランキング」のコーナー。
これは、カラオケのJOYSOUND調べによる「手紙」を歌う人がほかによく歌う曲を紹介するというもの。
まずは第5位から2位まで紹介。
第5位は、すぎもとまさとさんの「鮨屋で・・・」
第4位は、ケツメイシの「花鳥風月」
第3位は、すぎもとまさとさんの「吾亦紅」
第2位は、山根康弘さんの「Get Along Together」
富澤さんによれば、「吾亦紅」は母への鎮魂歌、「鮨屋で・・・」は父と娘の歌でいずれも親子の歌とのこと。この2曲は「手紙」とも世界観が近いようにも感じられるし、年齢層も高めのようである。
一方で「花鳥風月」はかなり若い世代だし、「Get Along Together」は、若くはないが年寄りでもない世代(苦笑)の歌である。
さて、第1位はいったい何が来るのか。
どうラーとしては、「あの曲」が来るのかと一瞬期待してしまう。
第1位は・・・・・福山雅治さんの「milk tea」
えーっ!?意外な結果である。
富澤さんは、井上陽水さんの「人生が二度あれば」とかグレープの「無縁坂」などを予想していたとのこと。
もちろん、どうでしょうファンのみなさんは「1/6の夢旅人2002」と予想していたのではないだろうか。まあ、「1/6の夢旅人2002」の知名度と「手紙」の知名度をよくよく考えれば、圧倒的に「手紙」の方が多くの方に知られていて、歌われているはずなので、そんな結果は出てきそうにもないわけだが(苦笑)
このランキングを見て樋口さんは、いろんな世代・いろんなジャンルの人たちの歌が入っていることでうれしいとおっしゃっていた。
1位の福山さんの歌について富澤さんは、「龍馬伝」で受けているからではともおっしゃっていた。
番組の最後に、「歌を通して人に伝えたいこと」をたずねられて、樋口さんは、「希望」だとおっしゃる。命の希望であったり、愛することの希望であったり、自分が今置かれている苦しい状況の先には希望がある、それを伝えたいとおっしゃっていた。
最後に感想を聞かれた富澤さんは「ズキッときた」とおっしゃっていた。
以上で番組は終了。
これまでに何度も紹介されたエピソードではあるが、初めて見る人にとってはかなり分かりやすく歌の世界を伝えていたのではないかと思う。
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コメント
こんにちは!
「手紙」が本当に色々な人の手に渡って、いつの間にか「輪」がつながったお話が印象的ですね。
同じような体験を思い出しました、10年以上前の自分の活動やアクションが知らない間に、アジアの各地でいろんな人に伝えられていて、自分が名乗った時に相手はもう自分の事をよく知っているという不思議さ。「あー、あのまねぴーさん!」って言われる不思議さ(笑)。こんな不思議があると、「続けていこう、生きていこう」って思います。
ぜひ樋口さんがこの歌の主人公と同じぐらいになったときのライブにも行って、聞きたいですね。(ま、そんな長生きはできないなぁ(苦笑)
投稿: まねぴー | 2010.07.22 00:10
まねぴー様
コメントありがとうございます。
「自分が名乗った時に相手はもう自分の事をよく知っているという不思議さ」に近いことは私もこのブログをやっていて感じることがあります。
ありがたいなあと思うと同時に、迂闊なことは書けないなあという気持ちににもなりますが(苦笑)
投稿: K_S | 2010.07.24 06:57