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2010.10.30

「みみらく霊歌」の生まれた場所・福江島への旅

樋口了一さんの曲に「みみらく霊歌」という歌がある。
アルバム「よろこびのうた」にも収録されているこの歌は、ライブでは必ずこの歌が出来たエピソードが披露される。そのエピソードの詳細は樋口さんの公式サイトの「Message」2005年12月分をご覧いただければと思うが、歌を聴くたび、そしてエピソードを聞くたびに、一度はこの歌の生まれた場所を訪れてみたいという思いが強くなっていた。
そして、今回ついにその思いを現実にするときがやってきたのである。

代休をからめて水曜日から金曜日まで3連休が取れることになり、取り急ぎ行程を作成。
往復ならびに現地での「足」や「宿」もうまく確保することが出来、仕事が終わった火曜日の夜に出発することとなった。
まずは、リムジンバスで大阪空港へ向かい、搭乗手続きを済ませ、バスで移動して乗り込んだのはこちら。2010_1026300004

ANA福岡行きの最終便である。機内はほぼ満席状態。ほとんどが仕事帰り、あるいはこれから仕事に向かうであろうサラリーマン。会社帰りのため、スーツを着てはいるものの、こちらはこれから「旅」に出る身。なんだか申し訳ない気がする。
離陸時と着陸時に、思いのほか揺れたものの、やられることなく小雨降る福岡空港に到着。
地下鉄に乗り換えて、中洲川端駅で下車し、歩くこと10数分でたどり着いたのは・・・

博多港。
照明もまばらな建物の中へ入ると、窓口は閉まっている・・・これは違う行き先の窓口だ。2階へ続く階段を上がっていくと、明かりのついた窓口を発見!2010_1026300006

よかった!
乗船券を購入し、すでに入港していた船へと乗り込む。行き先は「福江島」である。
乗り込んだフェリー「太古」は、23時30分に博多港を出航し、五島列島の島々を経由して、翌朝9時に福江港に到着する。
早速今夜の「宿」となるグリーン寝台へと入る。2010_1026300013

2段ベッドの並ぶ部屋に通され、指定された下段ベッドに入る。
広さはないが、カーテンを閉めれば周りは気にならなくなる。
出航まではオープンスペースでしばし過ごし、出航後はベッドへと戻り、早速寝る体勢に入った。
入ったのだが・・・これが寝れない。海上はかなりのしけ模様で、船が大きく揺れる。前後左右、上がったり沈んだり、えらい揺れっぷりである。
実は、同じフェリー乗り場から出航する対馬行きのフェリーは本日しけのため欠航している。にもかかわらず出航しているこの「太古」、それはきっと「これくらいなら問題なく航行できる」という判断があったからのはず。だから大丈夫だと自分に言い聞かせつつ、寝ようと努力を続けてみる。しかしほとんど眠れないまま午前4時過ぎ、宇久に到着する船内放送を聞くことになった。
宇久出航後もしばらく揺れは収まらなかったのだが、いつの間にか揺れは小さくなり、知らぬ間に寝ることが出来たようで、目が覚めたのは4つ目の寄港地若松を出たところであった。その後も、寝たり起きたりを繰り返しながら過ごし、定刻どおり9時に福江港に到着した。2010_1026300024

下船し、フェリーターミナル内の五島自動車観光課へ向かう。ここからは「レンタカー」での移動となる。今回借りた車がこちら。2010_1026300027

今話題の電気自動車「三菱i-MiEV」である。
五島列島では、電気自動車と観光ITSを有機的に結びつけた「長崎EV&ITS(エビッツ)プロジェクト」が行われており、電気自動車のレンタカーが多数用意されている。もちろん電気自動車の充電を行うことの出来る急速充電器も福江島内には4箇所設置されているので、バッテリー切れの心配もない。
この旅では、五島自動車のレンタカーと五島バスターミナルホテルの宿泊がセットになったプランを申し込んだ。料金は、宿泊代5,250円+レンタカー代(24時間利用)4,500円の9,750円(税込み)。これに、充電代として別途500円(利用時間内であれば充電回数制限なし)を支払っている。
手続きを終え、車の操作方法のレクチャーを受けてから乗車。まず向かった先は、「五島観光歴史資料館」。

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樋口さんはここでチャンココの資料VTRを見たり、チャンココの衣装を見て、近くの上大津地区へ向かい、そこで「ちゃんここのちーちゃん」と出会っている。
館内は撮影禁止だったので写真はないのだが、最初にハイビジョンシアターで20分ほどの映像(ドラマ仕立てで五島の四季を紹介したもの・「バラモンの空」というタイトルがついていた)を見てから、3階建ての館内を見て回る。樋口さんが見たであろうチャンココのVTRや衣装ももちろん見て回った。
観光歴史館を見学した後は、車を走らせて白良ヶ浜へ。ここも樋口さんが訪れた場所である。
白良ヶ浜万葉公園に車を止めて、中に入っていく。少し登ったところに「蜻蛉日記」の石碑が設置されていた。2010_1026300057

蜻蛉日記の作者・藤原道綱母が、死んだ母の通夜の席で亡くなった人が再び現われる島があるが近づくと姿が消えてしまう「みみらくの島」という島があるという話を聞いて詠んだ「ありとだによそにても見む、名にし負はば我に聞かせよみみらくの島」という歌が石碑には刻まれていた。
海のほうへ行ってみると、人工的に整備された岸が続いている。2010_1026300048

近くの道の駅「遣唐使ふるさと館」に立ち寄る。ここには電気自動車の急速充電器が設置されている。まだ電気容量には余裕があるが、試しに使ってみることにする。2010_1026300054

充電時間はわずか6分で終了したのだが、充電器を操作している間、観光バスから降りた観光客の方々から「これ電気自動車?」「どうやって充電するの?」「どれくらい時間かかるの?」などなど、質問攻めにあう(苦笑)。
ついでにここにあるレストランで昼食をとろうと思ったのだが、遠足か何かで中学生の団体がレストランで食事をしており、落ち着いて食べられそうにもなかったのでパス。結局この日は朝食・昼食抜きになってしまった。
道の駅を後にして、近くをうろうろしていると、民宿の看板を発見。その民宿とは、樋口さんが宿泊された「登屋」さん。2010_1026300065

今回の旅では泊まらないが、いつかは泊まってみたい宿である。
そして次に訪れたのは、「みみらく霊歌」のエピソードの中で、一番訪れてみたいと思っていた場所である。それがこちら。2010_1026300082

高浜、日本の渚100選にも選ばれた美しい砂浜である。
駐車場に車を停めて、浜へと降りてみる。2010_10263000842010_10263000862010_10263000932010_10263000892010_10263000882010_1026300106

気がつけば、何枚も写真を撮り続けていた。
そして、携帯用音楽プレーヤーを取り出し、片耳だけヘッドホンをして、波の音と「みみらく霊歌」のハーモニーを楽しむ・・・何と贅沢な時間だろうか。
夕方、日の沈むころにはどんな風景が広がるのだろうか・・・まだ時間は早いので、いったん高浜を後にする。
続いて向かったのは、高浜からそれほど遠くはない頓泊海水浴場。2010_1026300111_22010_10263001102010_1026300121

「つぶやき」で情報をいただいたのだが、こちらもすばらしい景色である。
一旦福江市内へと戻り、商店街にある駐車場に車を停めて、ぶらぶらと歩いていく。向かう先は、樋口さんがちーちゃんと出会った上大津地区である。
樋口さんの「Message」によれば、スーパーの駐車場に車を停めて坂道を登っていったらしい。まずはそのスーパーを見つけたい。
携帯電話でグーグルマップを見ながら歩いていくと、1軒のスーパーを発見!2010_1026300126

マップ上この辺りで他にスーパーらしきものは見当たらない。おそらくここがそのスーパーと思われる。ということは、この先にちーちゃんと出会った場所があるはず。というわけで、ゆっくりと坂道を登っていく。
周りには民家が立ち並んでいるので、うかつに写真を撮るわけには行かない。カメラの電源を切り、自分の足と目と耳で感じながら坂道を登っていく。
坂道を登っていくと、神社の鳥居を見つけた。
樋口さんの「Message」に、ちーちゃんがちゃんここを「まんまえさん」で見たという記述がある。この「まんまえさん」が何を指すのか、以前から考えていたのだが、一つ思ったのは「まんまえさん」とは寺か神社を指しているのではないかということである。
例えば神戸で言うと「生田さん」とか「楠公さん」など、神社のことを「○○さん」という表現で呼ぶことがある。どうでしょうファン向けにいうと「三吉さん」だろうか(笑)
あくまでも「想像」でしかないが、もしかするとこの辺で「ちゃんここ」が行われていたのかも・・・そう思いながら、さらに坂を上っていくと大きな道に出た。見晴らしのいい場所まで行ってここで写真を撮影する。2010_1026300128

この景色のどこかにちーちゃんがいるのだろう。いつか樋口さんとちーちゃんが再会できることを願いつつ、商店街のほうへと戻ることにする。
本町通り名店街を歩いていると、こんなものを発見。2010_1026300129

「チャンココ」の衣装を着た大きな人形である。こんなオブジェがあるんだなあと思いながら通り過ぎ、ふと裏側を見てびっくりした。2010_1026300130

なんとこの「チャンココ」は、公衆電話であった。
ここでまた「つぶやき」情報をいただいた場所を訪れることにする。
御菓子司雲泉堂さんである。
ここの「かんころカステラ」が美味しいという情報をいただいたので、購入。

時間もいい感じになってきたので、もう一度高浜へと向かう。少しバッテリー残量が心配だったので、再び道の駅「遣唐使ふるさと館」に立ち寄り、充電してから高浜に向かうことにする。20数分充電してから車を走らせ、高浜に着くと、こんな景色が広がっていた。2010_10263001582010_10263001632010_10263001462010_1026300167

雲に隠れてしまっているのは残念だが、潮も大きく引いて、昼間とはまた違った表情を見せている。
ここでもたくさんシャッターを切っていた。
だんだん風が強く冷たくなってきたので、車に戻り、宿へと向かう。
宿にチェックインし、夕食を取ろうと町に出るが、開いているのは飲み屋さんばかり・・・お酒を飲めない身としては、かなり厳しい状況である。結局、夕食はほか弁になってしまったのだが、せめて何か地元産のものをということで、開いていたスーパーでこちらを購入。2010_1026300174

五島コーヒー・・・美味しかった。美味しかったけど・・・やっぱり五島牛とか食べてみたかった(泣)
この日は宿にネット環境がなかったため、早々に就寝することにし、長い1日がようやく終わった。

旅はまだ続く。

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