「旅の手帖」「旅と鉄道」と、続けて鉄道旅行に関する雑誌を紹介する記事を書いていると、やはり旅に出たくなる。かといって、この間の「さぬきうどん」のように簡単に(?)出かけるわけには行かない。時間とお金のかかり方が圧倒的に違うからである。
そこで、今回はこの春のダイヤ改正で定期運行が終了する「日本海」「きたぐに」を使って、「こんな旅はどうでしょう?」というプランをいくつか作ってみたので、ご紹介したいと思う。
プランその1:「きたぐに」「日本海」で日本海縦断線往復の旅
まずは行程から。
初日、大阪駅23時27分発急行「きたぐに」で出発、翌朝8時29分に新潟駅に到着。
乗り換え時間5分で新潟駅8時34分発の特急「いなほ1号」に乗車し、12時11分秋田駅に到着。
ここで昼食をとっていただき、秋田駅13時10分発の特急「つがる3号」に乗車し、15時53分に青森駅に到着。
ここでは約3時間半時間があるので、青函連絡船メモリアルシップ「八甲田丸」を見学するもよし、あるいは「つがる3号」を大鰐温泉駅(15時5分着)または弘前駅(15時17分着)で降りて、弘南鉄道に乗るのもいいかもしれない。
そして青森駅19時31分発の寝台特急「日本海」に乗車し、翌日10時27分大阪駅に到着。
車中泊2日の強行軍ではあるが、「きたぐに」も「日本海」も両方楽しむことができる。
また、このプランは大阪の出発時刻が遅いので、例えば新大阪駅(23時32分発)で乗り継ぐのでよければ、関東方面からだと東京駅20時50分発の「のぞみ265号」に乗れば、新大阪駅到着が23時23分。九州方面からだと、博多駅20時33分発の「ひかり582号」に乗れば、新大阪駅到着が23時25分と、いずれも乗り継ぐことができるので、会社帰りでも十分に間に合う。
個人的には、往路の乗り継ぎに思い入れがある。大学4回生の冬、卒業旅行として初めて訪れた北海道への行程がまさしく急行「きたぐに」から特急「いなほ」への乗り継ぎであった。その当時は青森まで「いなほ」が走っていたので、青森で急行「はまなす」に乗り換えて、北海道へ足を踏み入れたのである。
今は秋田で「つがる」に乗り換えなければならないが、十数年前とほぼ同じ行程をたどれるこのプランは、休みとお金さえあれば本当にやってみたいと思っている。
プラン2:「きたぐに」「日本海」プラスアルファで日本海縦断線プラスアルファの旅
プラン1の行程にちょっと手を加えているプランである。
大阪から秋田までの行程はまったく同じで、秋田からの行程が「プラスアルファ」の部分となる。
秋田駅14時10分発の快速「リゾートしらかみ5号」に乗車し、東能代から弘前までは五能線を経由して、19時19分青森駅に到着。
乗り換え時間わずか12分で、19時31分発「日本海」に乗車し大阪へ戻るという復路はプラン1と同じである。
秋田での乗り換え時間がかなりあること、「リゾートしらかみ」の運転日が毎日ではないこと、さらにこの季節は風雪による列車遅れ・運休の可能性も高いので、「乗れたらラッキー」くらいの感覚でいくのがよいのではないかと思う。
仮に「リゾートしらかみ」が運休したとしても、それを確認してからプラン1の「つがる」乗り継ぎに切り替えることもできるのが、このプランのポイントといえよう。
五能線も長らく乗車しておらず、乗車当時は「リゾートしらかみ」ではなく「ノスタルジックビュートレイン」で走破したので、こちらのプランもできれば自ら実現したいところである。
プラン3:若き日の「アカデミー賞優秀主演俳優」気分を味わう(?)きたぐに&フェリーの旅
若き日の「アカデミー賞優秀主演俳優」が誰を指しているかは、もうお分かりであろう。そう、大泉洋さんである。
彼がここまで大きくなったその出発点は、やはり「水曜どうでしょう」である(「モザイクな夜」の元気君は?というご意見もあるだろうが、あの時は『大泉元気』であり、『大泉洋』ではないから、ということにここではしておく)。
その「水曜どうでしょう」の最初の企画「サイコロ1」で、彼らは新大阪から急行「きたぐに」に乗り込み、新潟駅前で振ったサイコロで、無事北海道の目を出したものの、小樽行きのフェリーで18時間かけて帰ったのである。これをそのままやってしまおうというのがこのプラン3である。
プラン1、2同様に急行「きたぐに」に乗車し、8時29分に新潟駅に到着。
ここから新潟港までは路線バスあるいはタクシーでの移動となる。バスなら乗車20分、末広橋バス停で下車して徒歩10分、タクシーなら約15分で到着する。
新潟港10時30分出航の新日本海フェリーで、翌朝4時30分に小樽港に到着。
年末年始には、小樽港から札幌市内へ向けての臨時バスが走るそうだが、この時期にはそういうバスはなく、また路線バスのバス停も少し歩いたところにあるのだが(ぱるて築港)、バスの始発の時間が7時35分と、かなり待たなければならないので、最も近い南小樽駅か、小樽駅・小樽築港駅まで、徒歩あるいはタクシーで移動するしか手段はなさそうである。
まあ、駅に着いても、さらに始発電車までには時間がかなりある(ちなみに小樽駅始発の札幌行き普通電車は5時38分発、札幌駅到着は6時26分である)。
北海道からの帰り道は、飛行機なり、トワイライトエクスプレスなり、北斗星なり、お好みの手段で帰っていただくことになる。
ちなみにだが、小樽駅始発の普通電車に乗ると、札幌駅7時ちょうど発の特急「スーパー北斗2号」に間に合い、10時11分に函館駅に到着。
すると函館駅10時17分発の特急「スーパー白鳥26号」に乗って、12時7分に青森駅に到着するので、余裕で「日本海」に乗り継ぐことができる。
これまたちなみにだが、「日本海」に間に合うぎりぎりの列車を逆算すると、小樽駅発12時34分発の快速「エアポート130号」に乗車すると、13時6分に札幌駅に到着し、札幌駅13時17分発の特急「北斗14号」に乗り換えると、16時49分に函館駅に到着し、函館駅発17時7分発特急「スーパー白鳥42号」に乗り換えて、18時55分青森駅到着となり、19時31分発の「日本海」に乗換えが可能である。
実に壮大なプランではあるが、このプランの実行には大きな問題がある。
それは、新潟と小樽を結ぶ新日本海フェリーが、火曜日から日曜日にしか運行されておらず、さらに今年は定期検査に伴う船のドッグ入り等のために、1月5日から3月9日までは「欠航」になっているのである。
つまり、このプラン3が実行できるのは、フェリーの運航が再開される3月10日からダイヤ改正前日の16日のうち、12日(月)を除くわずか「6日間」しかない。
そして、すべてのプランについていえることだが、風雪による運転取りやめは、頻繁に発生しているので、予定通りに行程が進むことはかなり「奇跡」に近いかもしれない。
それでも、定期運行期間中に「乗り納め」したい方は、これらのプランを参考にしていただければ幸いである。
またまたちなみにであるが、GW期間には早速「日本海」「きたぐに」が臨時列車として運行されることが決定している(参照:JR西日本ニュースリリース・PDF)。
ただし、定期運行と異なる部分が何点かある。
まず「日本海」は、ダイヤが大きく変わる。
下り(青森行)は、大阪駅20時38分発で翌日12時42分に青森駅到着(運転日は4/27,28,5/5,6)
上り(大阪行)は、青森駅16時21分発で翌日10時27分に大阪駅到着(運転日は4/26,27,5/4,5)
定期運行時は大阪発の時刻が早すぎて使いにくかったのだが、20時38分発であれば会社帰りでも十分利用できる。一方で青森発の時刻はちょっと早すぎて使いづらいかもしれない。
編成はオール客車2段B寝台6両編成となり、開放式の客車2段A寝台はなくなってしまう。
続いて「きたぐに」の大きな変更点は、東海道線経由から湖西線経由に変更となるため、定期運行時に停車していた大津・彦根・米原・長浜には停車しない。また、新津から先の快速運転もなくなり、終点新潟まで急行列車として運転される(亀田駅への停車がなくなる)。そして、2段式A寝台と自由席がなくなり、電車三段B寝台6両とグリーン指定席1両の7両編成で運行されるとの事。ひとまず583系での運転は続くようである。
下り(新潟行)は、大阪駅23時27分発で翌日6時54分に新潟駅到着(運転日は4/26~5/6)
上り(大阪行)は、新潟駅22時37分発で翌日6時49分に大阪駅到着(運転日は4/27~5/7)
下りは到着時間が早くなり、上りは出発時間が早くなるが、「日本海」ほどの大きなダイヤ変更ではない。
今度は、この臨時「日本海」「きたぐに」を使ったプランも考えてみたい(ブログで記事にするかは未定である)。
それと、開放型のA寝台はなくなってしまうことがこれで確定したことになる。定期運行の「乗り納め」をする方で、もしお金に余裕があるのであれば、少し無理をしてでも、貴重なA寝台に乗っていただきたいところである。もちろん、B寝台も貴重な存在だし、583系の座席使用は、団体列車など、特別なものでない限り今後乗れない可能性もある。いずれにせよ、乗る機会のある方は、思う存分貴重な空間と時間を過ごしていただきたいなあと思う。
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